老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

オカリナの話・後編(Studio Live)

前回のブログで、オカリナの練習曲にウクレレとアコギを加えて多重録音する、と自己宣言しました。
しかし、一緒に付きあってくれるはずの女房が、「オカリナの音がちゃんと出せない」というのです。
オカリナ本体に不具合はないのですが、原因と対策については今回のブログの後半に説明することにします。
とりあえずは、私がオカリナで「浜辺の歌」を自宅スタジオで演奏した動画(約80秒)をYouTubeにアップしたので是非ご視聴ください。
初めにお断りしておきますが、見事にヘタクソです。
還暦過ぎた老人が1曲全部(1番だけですが・・)初めて吹いた演奏ですので寛容な心でお聴き願います。
A=440Hzでチューニングされた電子キーボード中心にベースもウクレレもそれに合わせたのですが、肝心のオカリナのピッチが高いほうにズレ過ぎていて、少し違和感があるのもご容赦ください。

10年以上前ですが、ウチの近所にある市民ホールで宗次郎さんのオカリナコンサートがあり、私たち夫婦はもちろん聴きに行ったことがありました。
なるべく演奏者に近い席が欲しかったのですが、結構人気があって、私たちの席はセンターとはいえ2階でした。
宗次郎さんのオカリナを中心としたバンドは6人編成で、全てアコースティック楽器でしたが、(特定の数曲の演奏時のみ電子キーボードも使用していましたが・・)きちんとしたPAシステムのおかげで、広いホールの隅々まで心地良いサウンドに満ち溢れていました。
このコンサートで、強烈な印象として覚えていることがあります。
それは最後の数曲が演奏されたときでした。宗次郎さんが言うのです。
「せっかくのアコースティック楽器なのに、マイクで音を拾ってアンプで増幅した音をお聴かせするだけでは申し訳ないので、電気を全く使わない演奏をお聴かせしたいと思います。当然ながら音が小さくなりますので静かにお聴き下さい。」といってアンプラグド演奏が始まりました。
切のPA装置を通さない小さな音なのに、宗次朗さんのオカリナのメロディは涙が出るほど優しくて、柔かくて、澄んでいてすごく感動しました。

あれからだいぶ月日が過ぎましたが、今回入手した税込¥5680.-のオカリナを吹いてみて、(もちろん宗次郎さんよりだいぶ劣りますが)宗次郎さんのあのアンプラグド演奏の感動がよみがえったのです。
楽器はいろいろありますが、シンプルなアコースティック楽器アンサンブルは心の琴線に響くものだとつくづく再確認しました。

という長~い思い出話はこれくらいにして話題を変えましょう。
今回オカリナを使いこなすための練習曲として、オカリナがカヴァーできる音域内の曲を探した訳ですが、その曲はそのまま多重録音してYouTubeにアップするつもりでしたので、あまりに初歩的過ぎる曲は嫌でした。
いろいろ考えた結果、「浜辺の歌」に決めたのです。
ここで、単音楽器であり移調楽器であるオカリナと、演奏しやすいメロディの相性についてウンチクを垂れたいと思います。
移調楽器とは、まずカヴァーする音域が狭い楽器で、キーが変わるたびに運指を変えることによるデメリットを防ぐため、運指を変えずに楽器を持ち替えることでキーを変えるハーモニカのような楽器のことで、それぞれのキーに合ったスケールのものが複数ある楽器のことを言います。
今回、練習曲に選んだ「浜辺の歌」のキーはFヘ長調)です。
もちろん曲のキーをCハ長調)に転調するのは簡単ですが、息子の中学時代の教科書でもヘ長調ですし、アンサンブルのためのVoicing作業で、ウクレレのコード進行構築の観点からも、ヘ長調のままで行くことにしました。
ということは、使用するオカリナはアルトC管ではなく、曲のキーに合わせてソプラノF管の方が良いように思えるでしょう。
ところがそうではないのです。
もう一度「浜辺の歌」の譜面をお見せします。
イメージ 1
メロディの一番低い音はCですが、この音をソプラノF管で吹くとすると、1オクターブ高い音にしなければなりません。そうすると、この譜面の一番高い音である高いBどころかその下のCすら出せないのです。
そのため、「浜辺の歌」の譜面のメロディラインから、曲のキーがFヘ長調)であっても、このメロディの全ての音を出せるアルトC管を選んだわけです。
そもそもオカリナは、演奏可能な音域が狭い楽器です。
演奏するメロディの音域(レンジ)を考慮して、ソロ演奏なら複数のオカリナを使い分けるか、アンサンブルなら高音域担当奏者と低音域担当奏者でメロディを補いながら演奏することもありです。
結論を言うと、オカリナのアルトC管、ソプラノF管、ソプラノG管のどれを選ぶかの判断基準は、その曲のキーが何であれ、メロディの一番低い音と高い音が下の画像のレンジに入っているものを選べばいいのです。
イメージ 2
もちろん例外はありますが、音の高低差が大き過ぎてオカリナの音域内からはみ出る曲は、オカリナ演奏向きではないということです。
しかし、今回の練習曲「浜辺の歌」のように演奏曲とオカリナのキーが違う場合は、オカリナで半音が吹けるように練習しておく必要があります。
この半音のための指のポジションがリコーダーと違うので、慣れるまでけっこう手こずりました。
具体的に苦労した運指について、下記の楽譜で説明します。
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要するに、ピアノで言う黒鍵に該当する音、この二つだけで苦労したのです。
オカリナ上面の穴ばかり意識していると、裏にある穴の両手の親指の押さえが甘くなり空気が漏れてピッチがおかしくなります。
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全ての楽器に言えることですが、使いこなすには練習して体に覚え込ませるしかないということをあらためて肝に銘じた次第です。

最後に、女房がオカリナをすぐ吹けない理由について説明します。
女房はピアニストで、いわゆる「ベタ指」をNGとして訓練してきました。
若い頃、爪を短く切り、爪が当たらないように指を立てて毎日のように鍵盤を「たたく」訓練をしていたので、第一関節から先の指先は広がっていて無骨な男の指みたいです。
太く広がった指をベタ指にせず、立てて押さえるので、その癖のせいでオカリナの穴をしっかり塞げないのです。
えぇ~!そんな馬鹿な!と思うでしょ?良く調べてみると、今回買ったTi Amoのオカリナは初心者向きということで、穴の周りが凹んでいて、指が自然に穴の位置に滑り込むようになっています。
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私も違和感がありましたが、これが少々邪魔なのです。
ベタ指でない女房の指は、普通の女性の指より横に広がっているので、ピアノの癖で指を立てて押さえようとすると、穴の周りにある余計なくぼみの縁に干渉するので穴を塞いだつもりに勘違いして、実は完全に塞げていないのです。
その結果、女房はアルトC管の、特に「低いド」の音が正確に出ないと言うのです。昔、子供たちが使ったリコーダーを見る限り、穴の周りに余計なガイドくぼみはありません。
ちなみに、同じTi Amoでもプロ用の高額なオカリナには穴の周りにくぼみは全くありません。
イメージ 6
つまり、初心者向きの穴のまわりのガイドくぼみは余計なお世話、ということです。

でも、これはピアノじゃないから、オカリナ初心者であることを自覚して、まずは音を正確に出すために、まずはベタ指で押さえるトレーニングをするべきで、女房はその真最中です。
ピアノ鍵盤を弾くためにはNGだったベタ指は、オカリナの穴をしっかり塞ぐためには有用ですが、女房のピアノ演奏技術の癖がこれを邪魔していたというわけです。

それにしても、オカリナはハーモニカ以来、久し振りに追加したメロディ楽器=単音楽器で、とても楽しいおもちゃです。
ウクレレは、それ自体でソロ演奏は可能ですが、聴き手にとっては、「オカリナのメロディ+ウクレレの伴奏」はアンプラグドアンサンブルのベストマッチな組み合わせだと思いました。
今回購入前に、きっかけと参考意見をいただいたブロ友ノッキーさんには感謝です。

ところでノッキーさん!アルトCうなら、少し高価でも穴の周りにガイドくぼみがないものを選んだ方が良いですよ。