老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

叔父からもらったマンドリンの話

昨年、叔父が東京バラライカアンサンブルのメンバーから引退したと連絡がありました。
叔父は今年の年末に88歳になる高齢で、私の幼少期に、その後の私の楽器演奏と造形活動に多大な影響を与えてくれた人生の恩人です。
過去ブログ「私の叔父、絵画と楽器演奏の恩人」をご参照。

私は叔父に手紙を書いて、演奏活動からの引退を残念に思っていること、そして「長い間お疲れさまでした」の意を伝えました。
そして、以前からお願いしようとしていたことも伝えました。
それは叔父が所有しているマンドリンを譲ってほしいというお願いです。

叔父の専門楽器は「ドムラ」というバラライカ1種で、3弦タイプと4弦タイプがありますが、叔父のものは4弦タイプです。
写真左端が叔父
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その調弦はバイオリンやマンドリンと同じEADG1弦~4弦) なので、叔父はマンドリンも複数所有しているのでその中の1台を譲って欲しいとお願いしました。
そして送られてきたのが、叔父がドイツで衝動買いしたという中古のフラットボディマンドリンです。
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このマンドリンにはケースが付属していなかったとのことですが、昔小学校長だった叔父の人脈の力で、出入りの業者に専用ケースを格安で作ってもらったとのことでした。
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楽器としての全長は607mm、ナット部の指板幅29mm、最大胴体厚み50mm、スケール(弦長)は一般的マンドリンと同じ335mmです。
比較としては不適切ですが、ソプラノウクレレのスケールは342345mmですのでそれより短いのでかなり短く感じます。

写真は私のコンサートウクレレChai.No.9(スケール381mm)との2ショットです。
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フレット幅を比較するとマンドリンのフレット幅がいかに狭いかが分かります。
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また、よく見かけるマンドリンのボディは裏面が球体のように膨らんでいますが、このマンドリンはバイオリンみたいにフラットなのが興味深いですね。

老・四弦奏者を名乗って気取っている私としては、ソプラノウクレレは小さ過ぎて(スケールが短過ぎて)弾きづらいため所有していませんが、今回久しぶりのショートスケール弦楽器を手にして少しワクワク+少し戸惑っています。
試しに「もしも明日が(晴れならば)」のイントロを弾いてみました。
マンドリン専用ピックは小さ過ぎて使い慣れていないのでサムピック(樹脂製)を使いました。
当たり前ですが、ウクレレやギターと違ってコード弾きではなくフレーズ弾きがメインですから頻繁に指を移動しなければいけません。
指板上の指の移動距離と指の着地点=押さえる位置=にギターやウクレレとは明らかな違和感があり、しばらく苦労しました。

マンドリン4つの解放弦音=EADGに、それぞれ同じ音の2つの弦を配置されています。つまり実際は8弦ありますが、同じ音2弦で1近接した2弦を同時に押さえながら運指して演奏します。
従って、短いスケールでも2弦分のテンションを受けるので、しっかり力を入れて弦を押さえないときちんとした音が出ません。

というとても長~い前振りはこれくらいにして、ここからが今回の本題テーマです。

私の女房は、音大卒ではありませんが音楽(ピアノ専攻)で勉強して中学の音楽教師の資格を持っています。
その女房は、私が仕事をリタイヤしてからの話ですが、
ウクレレにチャレンジして断念。
オカリナにチャレレンジして断念。と
いう歴史があります。

のオカリナ断念理由はピアニストがNGとされる「べた指」ができないためオカリナの穴を上手に塞げないからでした。
ウクレレ断念理由は、「コード弾きがメインなので歌か何かのリード楽器が無いと弾いていて面白くない」でした。

その女房が珍しく「マンドリン面白そう」と言い出したのです。
ウクレレと違ってフレーズ(メロディ)弾きがメインなのでチャレンジする気になったそうです。

ここで過去ブログの「前編・四弦楽器の調弦についてマドンナから学ぶ」
と、その後編
をお読みいただきたくお願いします。

この過去ブログで伝えたいことは、ウクレレやギターと違って、マンドリンはバイオリン族と同じ「完全5度楽器」であるということです。

例えば、ギターの5弦(解放弦で低いA)の5フレットを押さえるとDの音(AD4)になり、それは隣の4弦の解放弦と同じ音になりますが、マンドリンの解放弦でA音の2弦(正確に言うと2本ずつ8弦あるうちの3弦と4弦)は7フレットを押さえないと隣の1弦(正確に言うと2本ずつ8弦あるうちの1弦と2弦)の解放弦のE音(AE5)と同じにならないのです。
だから「完全5度楽器」なのです。
そのため、私が60年以上親しんでいるウクレレやギターと違うのでフレーズ弾きで混乱してしまうのです。

しかし幸いなことに、女房はそもそもウクレレもギターも弾きませんので完全4度とか完全5調弦楽器に対して先入観無しの全く白紙の状態でチャレンジができるのが強みとも言えます。
そうか!私がマンドリンを練習するよりも女房が練習して弾けるようになってくれるほうがうれしいし、私のウクレレやギターとのアンサンブルができるので楽しくなる!と気が付いたという訳です。

ということで、私が少し外出している間に女房に自由に弾いてもらうことにしました。
そうしたら私が帰宅後、女房が困った顔をしています。
どうしたの?って尋ねたら、変則的両手使い=基本は左利きで幼少期に強引に右手矯正された女房にとって、左手運指+右手弾きができないというのです。
え~?だって以前ウクレレ弾いていた時、普通に左手運指+右手弾きしてたじゃん、と突っ込みました。
そうしたら女房曰く、ウクレレは基本的にコードカットなので右利きの人と同じように右手でポロンポロン程度のスローカッティング弾きは可能だが、マンドリンでメロディ弾きをするために細かくオルタネートピッキング弾きをするには力も細かな動きにも右腕がついていかないのだそうです。

つまり本来左利きの女房にとって、マンドリンのオルタネート弾きは、利き手の左手なら弾けるとのことでした。
じゃあ、右手でフレットを押さえることはできるの?と聞いたら「それはどちらの手でも同じレベルで可能」とのこと。
生まれつきの左利きなのに、人と違うことでいじめられたり将来社会に出て困ることを心配したご両親が幼少期に強引に矯正したことによって脳の回路が混乱した結果なのだと思い、女房が少し可哀そうになりました。

女房の話では、基本的に両手使いだが、強い力が必要+細かい作業には左手が優勢だが、文字を書くことのみ右手でしかできないそうです。
左手で文字を書くと何故か鏡文字(左右反対の文字)になってしまいます。
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何だか「高齢の叔父からもらったマンドリンの話」から、いつの間にか女房がマンドリンに興味を持ったので女房に渡そうという話になってしまいました。
いずれにせよ、そうであるならば早速マンドリンの弦を左利き用に張替えなければなりません。
近日中にマンドリンの弦について勉強して新しい弦を買ってくる予定です。
ウクレレとオカリナを途中挫折した女房ですので、今度こそは挫折せずに弾けるようになってほしいと願うばかりです。

話は最初に戻りますが、私にマンドリンを送ってくれた叔父は、私がいくらか対価を支払うといっても受け取ってくれないので、何か形のあるものでお礼しようと思っています。
叔父さん、いつも甘えてばかりでごめんなさい。
そしていつもありがとうございます。