老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

久しぶりにローテク多重録音作品、新旧2作品の比較

60代になったら心穏やかに暮らしたい、と誰でも思う。
しかし、避けられない現実の問題から逃げるわけにもいかないのも事実です。
ある私的な問題の解決に向けて、この数日、時間を取られてしまいました。
2週間ぶりの投稿です。
今回のテーマでは、2つの作品をYouTube楽曲動画で視聴いただいた上で、その2作品を比較していただき、私の持論である「音楽は「いい音」であることに越したことはないが、「良い曲=良いメロディと良い詞」の方が聴き手にとっては優先される」ことを感じて欲しいことが目的です。
 
数日前、私の相棒の「りんご」と話をしました。
ブログなんて所詮独り言なんだから、誰も本気で見てはいないから、ブログ訪問者の目を気にしてかっこつける必要はないんじゃないか、ってね。
ヘタクソでも何でも、40年近い昔に、その当時としては先進的だったテープレコーダーで多重録音して制作した我々の作品を、現在のハイテク時代に発表してもいいじゃないか!という結論です。
と、いうことで、早速YouTube楽曲動画を視聴して欲しいのです。
この曲は、私が20代半ばで札幌に転勤していたころ、単独で作った作品ですが、その30年後に再録音したものです。
録音機材は、YAMAHAのHDD疑似16トラックマルチレコーダーAW16Gで、ベースはライン録りでしたが、アコギのFK-90CはSONYのエレクトリックコンデンサーマイクロフォンECM23Fをペアで使って録音しました。
アコギ3回、ベース1回、ボーカル2回の、シンプルな6重録音です。
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再録音した理由は、K.ヤイリのアコギFK-90Cの音を録音で残したいという気持ちがあったからです。オブリガードでのギターのチューニングが少しフラットしていることにあとで気が付いたのですが、録音し直す気力が残っておらず、そのままにしました。
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写真の左端が、FK-90Cです。この作品では、FK-90Cと、その二つ右隣のベースギターYAMAHA BB-Xだけを使って録音しました。
 
次は、40年以上前の、私がたぶん22歳ころに「りんご」の自宅で録音した作品です。
下記、YouTube楽曲動画を視聴してみてください。
この作品には、ベースが使われていません。
当時は貧乏で、ベースギターどころか、2万円を超えるアコギすら買えなかったのです。この作品で使った楽器は、「りんご」の自宅にあった1万円台のYAMAHAのフォークギターと、私が別の友人から借りたメーカー不明のクラシックギターと、私の叔父から借りたマンドリンと、私が買った少し高級なタンバリンという布陣でした。
アコギが2回、クラシックギター1回、マンドリン1回、タンバリン1回、ボーカル4回の9重録音です。
もちろん、その当時使用した楽器たちは、今はもう残っていません。
しかしこの曲は、私たちローテク楽曲制作ユニットMadKnight & his staffsの公式?録音としては2曲目の作品でした。
録音機材は、「りんご」が当時奮発して買った2台のカセットテープデッキと「やんま」の手持ちマイクロフォンSONY ECM270を2本 だけでした。
カセットテープデッキのラインとマイクのミキシング機能をフル活用して、ピンポン録音を繰り返して作り上げました。
サウンドミキサーもなかった時代ですから、左右の音像定位や演奏とボーカルの音の大きさ決めには、レコーディングディレクターの「りんご」が相当苦労しました。
そして、何と言っても失敗したら初めからやり直ししなければならないという、究極のローテク録音作業でしたから、1曲完成に徹夜は当たり前でした。
作曲も演奏も、100%私=MadKnight & his staffsの「やんま」なのですが、楽曲としては、詞を100%作った「りんご」の色がかなり強く出ている作品です。
たぶん「りんご」の当時の私的感傷が影響していたのでしょう。
 
録音年代でみると、この2曲は、35年近い隔たりがあります。
35年も経つと、録音機材も使用したギターも、価格とクオリティで大幅な進歩です。
 
でも、作品として聴いてみると、少なくとも我々や近しい友人たちの感想としては、むしろ今から40年以上前の作品「今はもう昔」の方が良いと思えてしまうのです。
 
こんな例を持ち出すのはとってもおこがましいのは十分承知なのですが、どうぞご容赦願います。
Beatlesの初回LPレコードが、たった1日で録音され、それもダビングなしの一発録りだったが、それらの作品は世界を一変させるほどのものだったことは、Beatlesファンでなくても知られており、歴史がその真実を証明しています。
それらの曲は、Beatlesが晩年の作品で主に8チャンネルマルチトラックレコーダーを数台使った多重録音によるものに決してひけを取らない楽曲も多かったのです。
 
私たちMadKnight & his staffsが、20代前半の若くて怖いものなしだったころ、勢いで作って録音した作品は、BaetlesのデビューLP、Meet the Beatlesと、背景では少し似ていると信じているのです。大変おこがましいのは分かったうえでの意見です。
 
つまり、私が言い続けていること、音楽は「良い音」であることに越したことはないが、「良い曲=良いメロディと良い詞」の方が聴き手にとっては優先されると、私たちは信じているのです。
昔、私が中学校1年生だったころ、ゲルマニュウムラジオで寝ながらら聴いた雑音だらけの洋画テーマ曲や、ニールセダカ、ポールアンカ、ジーンピットニー、ボビービントン、ブライアンハイランド、コニーフランシス、ヘレンシャピロには、歌詞もわからないのに涙したことはありましたが、今の音質の良いFM放送を聴いても感動することすらなくなったのは、単純に年をとったからではないと思うのです。
 
ちなみに、2つのYouTube動画のアップに関しては「りんご」の手によるものですが、彼のセンスとテクニックに賞賛と感謝の気持ちを持ってたたえたいと思います。
「りんご」ありがとね!