老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

パーラーギターは愛人の香りがする?

お爺ちゃんの茶飲みムダ話です。

ギター弾きが本気趣味の私にとって、ギター本体を触れること自体が幸せです。
もちろん、安定したピッチ、6弦すべての音量バランスがよいこと、ローからハイまで全てのフレットで狂いがないこと、弦高が高過ぎず低過ぎず、単音でもコード弾きでもクリアで豊かなサウンドであることが必須条件です。
低価格ギターはそのどれかに妥協して目をつぶらなくてはならないことがあります。
しかし、国産のアコギであれば15万円以上ならば、まず大丈夫と言って良いでしょう。
そして、そのギターは私の場合はK.YairiFK90Cなのですが・・・・

とはいえ、この信頼すべきパートナーのFK90Cとは別に、いつもそばに置いてフトコロの中で可愛がりたい小さなサイズのギターにも興味があるのも否定できません。
ウクレレじゃ満足できないので、あくまで「ギター」の機能を持ったうえで、小ぶりな6弦がたまらなく欲しくなることがあります。


私の場合、K.YairiFK90Cが妻ならば、小ぶりな6弦はたぶん愛人かもしれません。
妻を愛していますからホントの愛人はいませんが、ギターの場合は我慢できないのが本音です。

小ぶりな6弦・・それはトラベルギターとかパーラーギターとか呼ばれているカテゴリーです。
ここで唐突ですが、久し振りに少しばかりウンチクをたれようと思います。
「またかい!」とおっしゃらずに、お付き合いください。


トラベルギター(トラベラーギターと言うべきでしょう)はあくまで造語です。
旅先に持参して弾くので、持ち出しやすい小ぶりなサイズ=短い全長(短いスケール)、そして、他のお客様に迷惑かけないように大きな音が出ない小さな胴体、が必須条件です。


しかし、パーラーギターはすこしニュアンスが違います。
パーラーギター=お茶会などで使用する小ぶりな部屋で、少人数の前で演奏する目的で作られたギターなので、音量を抑えるために胴体は小さめですが、スケールが短い必要はないのです。
この意味では、私の愛器K.YairiFK90CRAGシリーズ、YAMAHAFGシリーズ、TAKAMINESA400シリーズなどはパーラーギターといっていいででしょうね。
「ニューヨーカースタイルギター」も呼び名は違っても、用途としてはパーラーギターと同様に、街中で弾き語りするとき、ヴォーカルが聴こえやすいように大音量が出せない小型ボディのギターです。

トラベルギターやパーラーギターを語る上で、まずは「ギターの弦長」について、共通理解しておきましょうか。

ギターの弦長とは、具体的に、ナットからサドルまでの弦の長さのことを言います。

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しかし、エレクトリックホローギター(フルアコセミアコ)の場合は少し違う表現をすることがあります。
エレクトリックホローギターにはサドルはなく、代わりにブリッジがその役目を代行します。
この場合のブリッジは、音程キープのほかに弦振動をボディに伝える役目も担っていますが、その効果を最大限に生かすため、テールピースという弦にテンションを与えるパーツとペアで使用されることがほとんどです。

この写真は、私の従兄弟で元プロの十田敬三さんのGibsonSuper400です。

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問題はこの場合のブリッジです。
弦のテンションのおかげでボディ側に押し当てられているときは固定されますが、基本的にはボディに固定されていませんので、弦がゆるめられると動いてしまいます。
もっとも、ブリッジが可動だからこそ細かなチューニングが可能なので、それが目的なのです。
弦の太さによってはチューニングの結果、ブリッジをネック側に寄せる場合やその反対もあり得ます。
そうすると、弦を換えるたびに弦長(スケール)の値が違うことになってしまいます。
ということで、ブリッジが可動式のギターのスケール表示は、ナットからブリッジまでの距離ではなく、ナットから12フレットの距離(アコギでのスケール表示の半分の値)で表すことが一般的なのです。
例えば、通常表記としてスケールが650mmなら325mmと表記されるのです。

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また、タカミネ製アコギやエレアコのサドルは12弦が他の4弦と分離しているので、こういう場合もナットから12フレットの距離でスケールを表示した方がイメージしやすいでしょう。
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アコギでの一般的スケール表示である「ナットからサドルまでの弦の長さ」が650mmくらいのギターを「スタンダードスケール」とか人によっては「ロングスケール」といいます。
アコギでは650mm±5mm、エレクトリックギターでは25 1/2inch=647.7mmがスタンダードスケールです。
アコギの世界では630mm±5mm、エレクトリックギターでは24 3/4inch=628.64mmのギターを「ミディアムスケール」といいます。
Gibson Les Paulセミアコなんかはほとんどの場合ミディアムスケールですね。

長~いウンチクはこれくらいにして、本題に戻りましょうか・・
私は今までにミディアムスケールよりさらに短いショートスケールのギターを数本所有していました。
こういった短いスケールのギターは、レキントギターとは別に進化したもので、トラベルギターやパーラーギターなどと呼ばれて製造され市販されています。
一般的なショートスケールは、24inch=609.6mmです。
有名なトラベルギターMartinBackpackerはショートスケールですが、国産メーカーK.YairiNocturneSizuku570mmで、少し短めのショートスケールです。

写真は私が昨年購入したSizuku(しずく=滴)です(ナイロン弦仕様)。

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今私が所有しているショートスケールギターは、Sizukuともう一つルーマニア製のHoraのナイロン弦仕様があります。
スケールは24inch=609.6mmです。
HoraSteel弦仕様も持っていたのですが、トラスロッドがないので順反りが激しくてギターの役目が果たせないため500円でハードオフに叩き売りました。
昨年手放したYAMAHAAPX-1Aもスケールが600mmで「一般的ショートスケールより短いギター」のひとつでした。

この写真はルーマニア製のHoraYAMAHAAPX-1Aのツーショットです。

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でも、所詮はどのショートスケールギターも「本妻」のK.YairiFK90Cには弾き心地、演奏性、サウンド、全てに著しく劣ります。
低単価品だからしかたないのですが、それが身に染みて分かったからこそもう「短いギター」に浮気はしない、と決めたのですが・・・

実は新手の愛人に会ってしまって、私は今、心が揺れているのです。
これが、新しい「愛人候補」のIbanezAVT1という4弦ギターです。
スペックはこの通りです。
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スケールは580mmK.YairiSizukuと同じですが、Steel弦で4弦仕様というのがたまらなく愛しいのです。
マテリアルにも手抜きは感じられず、実売価格で4万円ちょっとというのが悩ましいのです。
そして、このAVT1は、トラベルギターでもパーラーギターでもなく、ライヴや録音に十分使えるレベルのパートナーとなりうる存在だと思います。
しかし何か他のものを手放すか、何かの支出を抑えないと購入資金が足りない・・・・


女性にときめかなくなりましたが、小ぶりなギターにはいつもときめいている私です。