老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

河口湖オルゴールの森、自動演奏楽器コンサート

前回のブログの続きです。
先週の610日に河口湖畔にあるオルゴールの森に行ってきました。
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実は昨年9月にも行ったので、今回で2回目です。
ガイドマップで全体をお見せすると、こんな感じです。
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今回は、この中の①②のヒストリーホールの②で行われた自動演奏楽器コンサートをご紹介したいと思います。
案内のリーフレットに「自動演奏楽器」と書いてあったのですが、たしかにオルゴールは自動演奏楽器には違いないけど、わざわざ小難しい漢字の羅列で書かなくてもオルゴールでいいじゃないか?と思うのですが・・・
いや、と言うより、そもそも私たちは本当にオルゴールについてどこまで知っているんだろう?という話です。
と言うことで、昨年9月の初回訪問の時に勉強したオルゴールについてのウンチクを少しばかり語らせていただきます。
オルゴールには2つのタイプがあります。

1、一つはシリンダータイプといって、1796年スイスの時計職人によって最初に作られたそうです。
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円筒形の回転部(シリンダー)の周囲にピンを埋め込んだものをぜんまい動力で回転させ、筐体に固定されている櫛刃型の金属片を弾いて音を奏でる構造です。
比較的にシンプルな構造で、剛性もありスペースを取らないので、今でも安価で小型のオルゴールとして作られ売られています。
欠点は、同じ曲しか奏でられないことです。

2、もう一つはディスクタイプといって、シリンダータイプより後の1886年にドイツで作られたそうです。
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金属製の円盤の表面に穴をあける際、完全に打ち抜くのではなく大根おろしのトゲのような突起を円盤裏面に作り、円盤を回転させながら下に固定されている櫛刃型の金属片を弾いて音を奏でるという構造です。
櫛刃型の金属片と接触している部分の円盤が浮き上がらないように、上から押さえるバーのような部品が付いています。
円盤タイプは1枚に1曲しか記録できませんが、改良がくわえられてレコードやCDのように交換ができるようになりました。
音域が広い曲や長い曲を再生できるようにすると、どうしても円盤の直径が大きくなります。
その結果、部品を納める筐体も大きくなるので、櫛刃型の金属片が弾かれて発生する振動音が増幅され、大きく豊かな音量で再生できるというメリットがあるのです。
また、金型を作れるようになったため、円盤の量産も可能になりました。

ウンチクついでにもう一言いいたくなりました。

日本ではオルゴールですが、英語ではMusicBoxと言います。

カナダのピアニストFrankMillsさんの「愛のオルゴール」の原題は、MusicBox Dancerです。


あ!いつの間にか話がそれてしまいました。
今回のテーマはオルゴールではなく自動演奏楽器でしたよね。
ここから先は、人から聞いて学んだ知識の受け売りをせずに、先週の610日にオルゴールの森のヒストリー間で開催された自動演奏楽器コンサートを録画したので、これを見ていただくことで、私の「知識の受け売り」に換えさせていただきます。
編集なしで約22分半のビデオですが、この日は三脚を忘れたので、最初の数分間は手振れで画面が揺れましたことをお詫びします。
では、ご視聴ください。
この動画をご覧になってお分かりのように、オルゴールではなく、あえて「自動演奏楽器」と称した意味がやっと解りました。
IT技術がないころにも無人の自動ピアノはありました。
子供のころ、誰もいないのに鍵盤が勝手に動いてピアノが演奏される不思議なピアノは、当時デパートなどでも置いてありました。
このコンサートで一番びっくりしたのは、4弦のうち3弦を3台のバイオリンで1弦ずつ機械が弾いて演奏する「自動演奏楽器」です。
当時の価格は現在の価値に換算していくらだったのでしょうね。
それにしてもすごい技術ですが、これを可能にした執念の方が驚嘆に値します。

このビデオで説明を担当されているYさんという女性スタッフは、昨年9月の時にもお世話になった方です。
しかし、同じ22分の開演時間でも昨年と今回では内容が大きく違っています。
昨年は、世界中で希少かつ高価な自動演奏楽器がこのミュージアムにある理由と経緯について教えていただきましたが、今年は昨年聴かせてもらえなかったいくつかの自動演奏楽器が演奏されるのを聴くことができました。
スタッフYさんによれば、20分程度では全てを説明しきれないので、複数回の開演を聴いていただければ全てのストーリーを伝えられるのだそうです。

Yさんの説明は分かりやすく、かつ話し方が上手です。
Yさんにブログにアップするお許しをいただいたので、撮影動画をYouTubeにアップし、今回のブログに貼り付けた次第です。

この写真は、大型の自動演奏楽器をバックにポーズをとっていただいたYさんです。イメージ 5動画でも説明されていましたが、この大型自動演奏楽器はタイタニックモデルと言って、あのタイタニックに積載される予定で作られたけど、何か訳があって積まれないまま沈没を免れたため、現在私たちはその音を聴くことができたという奇跡の自動演奏楽器です。
18世紀から19世紀初頭は、オーケストラが貴族の趣味でしたが、大人数の演奏者を雇うお金を節約するだけでなく、長期間の航海での船上で繰り返し聴いて楽しむことを目的として、こうした大型の自動演奏楽器は数多く造られたそうです。
21世紀の現在は、最先端のハイレゾナンス音源の音楽をNetで聴ける時代となりました。
でも、出先でも音楽を持ち歩いて楽しむための工夫は、300年以上前から行われていたことを知ることができて、今回も目からウロコが落ちまくりました。
Yさん、お疲れさまでした、そしてありがとうございました。