老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

懐かしき循環コード

ポカリスウェットのTVCMで、鈴木梨央ちゃんがウクレレを弾いていました。
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よく見ると、キーはCで、演奏曲は3コードで弾けるハワイアンソングで「Ta-Hu-Wa-Hu-Wai」(タフワフワイ)という曲です。
100年以上前の曲をハワイ生まれのMusicianがポップス調にアレンジしたものだそうです。
私たち世代では、牧伸二さんがウクレレ漫談で替え歌やってたのを懐かしく想い出します。

その鈴木梨央ちゃんは11歳の小学校6年生とのことで、見かけより大きくてびっくりしました。
そして、このハワイアンソングをCMにしてウクレレを弾きながら歌っているのです。
この娘は本当に弾いてるな
しかも簡単な3コードとは言え手もとを見ないでちゃんとリズムに合わせてスナップが利いたカッティングでサマになった演奏です。

でも、そうだよね・・・梨央ちゃんに張り合うつもりはないけれど、私がウクレレを弾き始めたのが小学校3年の8歳のときで、クラス学芸会で荒城の月を弾いたのが9歳の秋でしたから、決して負けてはいないのですが、それにしても梨央ちゃんの演奏はサマになっていて楽しいTVCMでした。

ところで、彼女が演奏している「Ta-Hu-Wa-Hu-Wai」(タフワフワイ)という曲は、キーがCハ長調)で、基本的に3つのコードで演奏が可能です。
主和音・下属和音・属和音 の3つです。キーがCならコードはCFG3つです。
押さえ方はこんな感じですが、初心者はGを押さえるのに苦労するでしょうね。
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私も昔そうでした。HiGチューニングのウクレレでのGコードは、13弦を人差し指で押さえ、2弦を中指か薬指で押さえる(4弦は開放)か、1弦を中指、2弦を薬指、3弦を人差し指で押さえる(4弦は開放)という二つの方法がありますが、TVCMで梨央ちゃんは後者の押さえ方でした。
写真はちょうどそのGコードを押さえている画像です。
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さて、ここからが今回のテーマです。
この3つの基本的コードにもう一つAmを加えたのが、1950年代に大ヒットしたアメリカンポップソングの「黄金の循環コード」なのです。

当時アメリカでは、ジャズがマニアックで難解な方向に向かったのに反して、大衆向け流行歌曲は歌い易くて明るいメロディを単純かつ明るいコードで演奏できるように発生し進化しました。
ジャズのなごりもあって、リズムはスウィング=4ビートは主体でした。
4ビートに乗せて、CAmFGG7)の4つのコードを1小節ずつ弾き、これを繰返すことで歌いやすく演奏しやすいポップスがたくさんできた時代でした。
ウクレレではこうなります。
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全てローコードで押さえるとどれも必ず開放弦ができてしまいますが、音の減衰が早いウクレレだから許されるコードフォームと言えます。

ちなみに、先日、別番組で鈴木梨央ちゃんがギターを弾いて歌うシーンが放映されていました。
ギターは私の好きなK.ヤイリ製のYFP-01という弦長599mmのショートスケールギターでした。
イメージ 8これ試奏したことがありますが、私は結局これではなくナイロン弦仕様のShizuku(シズク)を購入したという経緯があるギターです。
梨央ちゃんはこのギターでキーがGの曲(良く知らないけどmiwaさん?の曲)を弾いていました。
キーがGなので、難しいコードは他にもないから音切れやビビりもなく演奏できていました。大したもんだ。

あ、話がそれてしまいました。
循環コードに戻ります。

この循環コードの4種類の和音は、どれも3つの音の和音でできています。
これを譜面にするとこうなります。
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ピアノの鍵盤で、「真中のド」から黒鍵を含まず3音ずつ離れた3つの音で和音を作り
1音ずつずらして7種類の和音を表しています。
コードCはこの中のⅠ(一番左の赤丸)、FはⅣ(左から2番目の赤丸)、AmはⅥ(一番右の赤丸)、GはⅤ(右から2番目の赤丸)です。
こうして譜面にしてみると、(長音階の)循環コードは耳にやさしく自然に聴こえてくるコード進行であるのも何となく合点が行く気がします。

と言うことで、195060年代のアメリカンポップスで、この循環コードで演奏された代表的な曲を3曲選んでみました。
コニー・フランシスさんのSomeoneelse’s boy(夢のデート)とジャック・スコットさんのCryCry Cry(クライ・クライ・クライ)、そしてポール・アンカさんのDiana(ダイアナ)です。
3曲とも原曲は違うキーですが、あえてCとして譜面化して日本語の歌詞をつけてみました。
小節数がダイアナだけ合いませんが、3曲とも同じ循環コードで演奏し歌える曲なのです。
例によってMusescoreで作った譜面ですが、メロディはなくベースラインを貼り付けました。
ベースラインと言っても、根音(トニック)だけです。
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実際のオリジナル曲がYouTubeにアップされていたのでご視聴ください。
まずはコニー・フランシスさんが日本語で歌うSomeone else’s boy(夢のデート)です。
そしてジャック・スコットさんの代わりに飯田久彦さんと言いたいのですが音源がないのでオリジナル版Cry Cry Cry(クライ・クライ・クライ)です。
最後のダイアナは特に日本では結構ヒットして山下敬一郎さんが日本語でカヴァーして歌っていました。
ポール・アンカさんのオリジナルキーがGなので、高い声が出ない素人ギタリストたちはキーを変えてC→Am→F→GG7)の4つのコードを繰り返し弾きながらヘタクソな歌を日本語で歌っていたのを懐かしく想い出します。
山下敬一郎さんバージョンのはキーがEで、たぶん高い声が出ないのとイントロの管楽器が吹きやすくするための転調だと推測します。
管楽器は基本的にEチューニングです。
この循環コードはその後、D7A7DmEmなどを混ぜながら多様化していきました。
これらのコード進行を全てぶっ壊したのがBeatlesでしょうね。
この話は長くなるからやりません。

今回は、同じ循環コードで3曲が歌える時代があった、というお話でした。
そう言えば、高校の頃、自作の曲を聴かせてくれた友人もキーこそCではなかったにせよ、やっぱり循環コードでシャウトしていましたっけ・・・(遠い目orz