最新の相棒・リトルマーチンLXM購入しました
相変わらず品のある都会的な風貌の草笛さんは、宝塚出身の女優さんで御年85歳、今年の10月で86歳だそうです。
たとえ顔を整形したとしても、表情や歩く姿勢やしぐさなどはシャンとしていてどう見ても75~78歳相当で、逆年齢詐称ではないかと疑いたくなります。
その草笛さんがとても印象的なお話をされていました。
それは「老いと闘うということは、億劫と闘うことだ」ということです。
老人は歳をとるに従い、しなければならないこと以外はしなくなります。
しなくても困らない+誰にも迷惑かけないなら余計なことはしなくなるのです。
草笛さんは億劫さをはねのけて、しなくてもいいこと+しなくても困らないことにを実施しているとのことでした。
私がホラ吹きながら書いているこのブログも同じだし、月に一回京王線府中駅前のカラオケパブ「こーたろの店」に楽器背負って1時間以上かけて出かけ、常連メンバーさんたちとジャムセッションを楽しむのも同じです。
ということで、今回も「億劫」を乗り越えて、マニアックなテーマを始めますのでお付き合いください。
今年の3月のブログ「新しい愛人候補、リトルマーチン」をご参照ください。
早い話が、先週リトルマーチンを購入したのでそのレビューをご披露したいのです。
今回、このギターをあえて「愛人」とは呼ばず、相棒と表現したのには訳があります。
本来は実際に演奏した音源を録音しYouTubeにアップしてお聴かせしたいのですが、それは近々やりますので今回はリトルマーチンの概要と私の正妻=K.YairiFK-90Cとの比較をメインテーマとさせていただきます。
まずは、ミディアムスケールのFK-90CとショートスケールのリトルマーチンLXM(以降LXMと書きます)の2ショットです。
そしてSpec比較表です。
ここで少しうんちく垂れましょうか。
過去ブログでも書きましたが、スケール表示についてまだご理解されない方もいらっしゃる場合を考えて再度おさらいです。
「スケール」はこの場合「有効弦長」で、一般的にはナットからサドルまでの距離を言います。
それは、低音弦=弦が太い=金属の質量が大きいことに由来します。
このため、一般的なサドルはこのように1弦側から6弦側の方に向かって有効弦長が長くなるように斜めにマウントさせています。
LXMの場合、実測したら1弦の有効弦長は584mmで6弦が591mmで、なんと7mmも違いました。
では、なぜLXMのスケールをカタログ公称上で23inch(約584.2mm)にしたのでしょう?
それは、ナットから12フレットまでの距離を2倍にした数字を表しているからです。
実際にナットから12フレットまでの距離を測ってみたら約292mmありました。
そもそもサドルの位置を決めるためには、12フレットを押さえて弾いた音がその弦の解放弦の音のちょうど1オクターブ上になるような位置を探り出す作業が必要です。
現実的にはこの結果、最も細い1弦はナットから12フレットまで距離のほぼ2倍のところがジャストポイントだったようで、そこにサドル位置を決め、最も太い6弦も同様に12フレットを押さえて弾いた音が解放弦Eの1オクターブ上の音になるような位置にサドル位置を設定したら、それが1弦Eより7mm長い結果となったという訳です。
とは言え、一番太い6弦が12フレットを押さえて弾いた音が解放弦の音のピッタリ1オクターブ上でも、もし13フッレット以上のハイポジフレットで弾いたら、ハイフレットに行くほど音のピッチは高いほうにズレていくでしょう。
しかし現実的には12フレット以上のハイポジフレットでの演奏は1弦2弦(たまには3弦も)だけで、それ以外の太い弦は12フレット以下での演奏しかやらないのでその範囲で音がズレなければよいとして設計し作られているのです。
タカミネのアコギはかなり割り切って作られており1弦と2弦で独立したサドルがあてがわれています。
もう少し突っ込んでみましょう。
そもそもLXMは一般的ショートスケールギターである24inch=609.6mmより短い23inch=584.2mmですが、これは私の本妻FK-90Cの2フレットを押さえたときの有効弦長と同じです。
ということは、同じ太さの弦を同じテンションで弦を張るとLXMは1音=2フレット分高いチューニングになる理屈です。
これを改善するために低音を出すためにテンションを緩めても大丈夫な太目の弦を採用することで短いスケールでも同じ調弦を可能にしています。
LXMのネックジョイント部の胴体厚みは73mmでFK-90Cは95mm、サドル側のエンドピン部胴体厚みはLXMが90mmでFK-90Cが100mmですから、普通なら筐体の容積も厚みも大きいFK-90Cの方が大きな音なのですが、LXMは「ピックで弾く」場合は音の大きさ=特に低音では負けていません。
しかし、全般的に音圧=音の大きさで負けていない原因は、マウントされている弦の太さだけでなく筐体のトップ面の異常な薄さとそれに耐えうる特殊材質によるものと考えられます。
「買ってすぐに良く鳴るバイオリンやギターなどの弦楽器」ははっきり言って安物です。
LXMはまさにこのタイプでしょう。
よい材質でできた高級な弦楽器は、弾き続けることで楽器全体が良い音を出すようになりますが、安物はすぐ結果が出るようにTop面が薄く作られています。
でも、5万円以下で買えるリトルマーチンLXMはこれだけの長所があるので結論としては満足しています。
①ピッチの狂いがなくどのフレットポジションでも安定した音程をキープしている。
これは楽器として最も重要です。
②弦高が絶妙に調整されており(たぶん販売店の力量)ビリつきがなく弾きやすい。
③ペグがMade inJAPANのGOTOH製が標準マウントされていてチューニングがしやすく安定している。
④電池いらずのピエゾ・パッシヴピックアップがついているので(販売店の仕様)、おしりのエンドピンからアンプにつなぐことが可能。
⑤まあこれはおまけですが、マーチンのロゴ入りのギグバッグがついている。
軽いし大きすぎないので次回のこーたろさんのお店でのセッションはギグバッグ背負ってデビュー演奏してきます。
LXMはMadein Mexicoですが、
サウンドも音圧レベルでも、ピアニストの女房が良い音だと褒めてくれるほど私も気に入ったので、多重録音にも使えそうです。
だから、小ぶりなショートスケールギターであっても「愛人」とは呼ばずにあえて「相棒」※になりそう※と言いたいたいのです。
そして、ブログ冒頭に書いた「億劫との闘い」をこれからも続けていくわけですが、このところ急に梅雨明けして猛暑なので録音したくない+エアコンつけるとその音をマイクが拾う、ので涼しい日を狙って録音する予定です。