老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

フェンダー・プレシジョンベース購入しました:前篇

正確に言うと、フェンダー・プレシジョンベース1962年モデルのコピーです。
ケースもコピーっぽいですね。
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私、老が付くとは言え「四弦奏者」を名乗る以上、たまにはプレシジョン・ベース解説なんかしてみようと思い、久し振りに上から目線にならない程度にウンチクを語らせていただきたいと思います。
 
そもそも、なぜプレシジョン・ベースというのでしょうね?
プレシジョンのスペルはPrecision で、正確とか精密、精度という意味の単語です。
そもそも、エレクトリックギター創成期から少し遅れてエレクトリックベースは出現しました。
ジャズや初期のブルースなどで使われたベースは、アコースティックのあのでかいコントラバスをピッチカートで演奏されていたのです。
コントラバスは、クラシックの弦楽器すべてに共通しますが、フレットがありません。
それでもバイオリニスト、チェリストは、しっかり音程をキープしながら素晴らしい旋律を奏でます。
もちろんコントラバス奏者も同じです。
なんだか、クレージーキャッツのベーシストの犬塚弘さんを思い出してしまいました。
犬塚さんは、クレージーキャッツただ一人の生き残りになってしまいましたね。
 
エレクトリックギターの進化に並行して、アンプを通して聴かせるエレクトリックギターの音量と音質とのバランスを保つため、エレクトリックベースは進化し、その存在を確立しました。
でかいコントラバスに比べて肩にかつげるほど小さいので、可搬性や演奏性に優れ、実用的かつ魅力的な楽器に進化したのだと思います。
あ、話がそれてしまいました。プレシジョン、Precisionの意味でしたよね。
クラシック音楽の世界から来たコントラバスは、ジャズやブルースで演奏する時は、弓を使わず指で弾くのが一般的です。
リズミカルな曲想ではピッチカート奏法の方が合っている、というか、ジャズの発祥は黒人奴隷の時代ですから、高価で消耗が早い弓は使えなかったのかもしれません。
あ、また話がそれてしまいました。プレシジョン、Precisionの意味でしたよね。
コントラバスと一般的なエレクトリックベースとの大きな違いは、大きさ、ホローボディかソリッドボディか、ということがあげられますが、最も大きな違いはフレットの有無です。
コントラバスにはフレットがありませんので、しっかりした音程のキープはとても難しいのですが、フレットがあるエレクトリックベースは調弦さえしっかりしていれば誰でも正確な音程での演奏が可能です。
フレットがあるために正確= Precisionな音程をキープできるので、その当時、ストラップで肩にかついで演奏ができるエレクトリックベースを、製造元のFender社がプレシジョン・ベースと名付けたのです。
フレットがあるのがプレシジョン・ベースなら、ジャズ・ベースも同じじゃないかって?
ジャズ・ベースプレシジョン・ベースの後に出現したもので、プレシジョン・ベースとの違いなどのエピソードについては、インターネットの世界で溢れんばかりの情報があるので、ジャズ・ベースの名前の由来を含め、お知りになりたい方は検索してみてください。
それよりも、今回のテーマ「プレシジョン・ベース※略してプレベ」にはマニアックで興味深い話がありますので、ご興味がある方はお付き合いください。
私が今回購入したプレシジョン・ベースは、1962年モデルのコピーで、初期のタイプです。
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以後、少しずつマイナーなチェンジが行われたらしいですが、1970年半ばに、モデルチェンジが行われ、ある画期的なデザインチェンジがなされました。
初期のエレクトリックベースには、現在のプレシジョンタイプではめったに見かけない「フィンガーレスト」がありました。
それも、1970年代半ばを境に位置が変わったのです。
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Fenderプレベの初期タイプ(写真左)はフィンガーレストが1弦側についていました。
当時のエレクトリックベースの演奏スタイルは、1弦側にあるフィンガーレストに人差指と中指と薬指をかけ、親指で弦を弾くのが一般的だったのです。
親指弾きベーシストといえば、Fenderプレベを演奏していたBeach BoysBrian Wilsonを思い出します。
その後、ロックやフュージョンなどの多様な音楽出現と変化に伴い、ベース演奏のテクニックが進化して、人差し指と中指の2フィンガー弾き、薬指も使う3フィンガー弾きによる「速弾き」をやりやすくするため、1970年代半ば以降のFenderプレベのフィンガーレストは4弦側に移動したのです(上の写真右側)。
4弦側のフィンガーレストは、それ以前のタイプとは逆に親指をかけるためでした。
音楽の進化にともなう演奏の進化、それは演奏テクニックの向上による運指のスピードアップや、単に主音=トニックのみを弾く裏方としてのべースではなく、裏メロディやオブリガードも弾く主役に匹敵するステータスを得たエレクトリックベース奏法のための構造上の進化だったのです。
 
でも、ジャズ・ベース使いのJaco Pastorius(故・ジャコ・パストリアス)さんの演奏をご存知の方はお分かりのように、彼の縦横無尽のチョッパー奏法では、もうフィンガーレストなど邪魔になるだけで無用の長物になっていったのです。
まるで盲腸みたいですね。
現在市場に出回っているエレクトリックベースでフィンガーレストが付いているモデルはほとんど見かけません。
 
実は、今回のエピソードはネタ切れを起こさないように3話に分けてアップしようと思います。
前編は「プレシジョン・ベースのフィンガーレスト」を語ってみました。
今回、私のつたないブログにお越しいただいた方々、ありがとうございました。
私の最終職歴が「講師」だったせいか、何となく説教がましくなってしまわないように、上から目線にならないように気を付けながら話を続けてみるつもりです。
お付き合いいただければ幸いです。
 
次回の、中編「エレクトリックベースのピックアップ」に続く。
 
あれ?フェンダー・プレシジョンベース1962年モデルのコピータイプを買った話はどうなったのでしょうね?
それは後編に?・・・・