老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

フェンダー・プレシジョンベース購入しました:中編

エレクトリックベースとエレクトリックギターのピックアップを、まじまじと見比べたことってあまりないですよね。
一般的に、どちらも共通なのは、ソリッドボディなのでマグネティックタイプのピックアップをマウントしています。
写真は、私の愛器ギター「MusicMan Axis Sport Rosewood limited edition・改造あり」です。
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ハムバッカーピックアップであるとかシングルボビンであることは、今回どうでもいいのです。
次の写真は、私が今年購入したFender JapanJazz Bass Customです。
ジャズベですが、正確に言うと、ピックアップレイアウトはPJタイプと呼ばれているものです。
PJタイプピックアップレイアウトについては後述します。
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ここで注目して欲しいのは、ピックアップ本体の種類とか位置や数ではなく、ポールピースの数と位置です。
エレクトリックギターのピックアップの一つのピックアップを見ると、ポールピースは6弦分6つあり、それぞれ弦の真下に位置し至近距離にあります。
マグネティックピックアップは、弦との距離が離れると感度が急激に低下するので、弦とポールピースは至近距離にあるのですが、ボディの振動癖と出力の違いに合わせて、ポールピースの高さ=弦との距離を調整することができます。
これに対してエレクトリックベースのピックアップのポールピースの数と位置を見てください。
ポールピースはベース弦の真下にはなく、2つあるポールピースの真ん中に弦がくるように配置されているのが分かります。
その理由は、ベースギターは弦長が長く、弦振動による振れ幅が大きいので、これに追従するために、このように2つのポールピースで1つの弦を受持つレイアウトにしたのです。
一般的な4弦のエレクトリックベースギターのピックアップはポールピースが8個あるのはこのためです。
では、プレベのピックアップはなぜ12弦グループと34弦グループでずれた形でマウントされているのでしょうか?
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エレクトリックベースのリファレンスだったFender Precision Bassは、のちに多くのコピーモデルが多くのメーカーから発売されました。
この頃には、「モロコピー」ではなく、ヘッドやボディ形状を少し変えたり、フィンガーレストを付けないモデルなどがたくさん売り出されました。
私が最初に購入したYAMAHA BB-Ⅵも、そういったプレベのコピーモデルの一つです。
それでも、明らかに違う部分があるのです。
そもそもFender社のJazz Bassにはあるリア側のピックアップがPrecision Bassにはありません。
基本的に1個しかないピックアップ、それも横1列にせず、12弦グループにはリア側に34弦グループにはフロント側にずらしてレイアウトされています。
しかし、私が昔所有していたプレベのコピーベースYAMAHA BB-Ⅵのピックアップレイアウトは、これとは逆に、12弦グループにはフロント側に34弦グループにはリア側にずらしてレイアウトされています。
写真上がFender社のPrecision Bass、下がYAMAHA BB-Ⅵです。
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YAMAHA BB-Ⅵは、30年以上前の廉価版製品で、当時定価が55,000円でした。
 
写真は、1981年版YAMAHA ギター・ベースカタログに掲載のBBシリーズです。
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以下、私の推測ですが、たぶん、弦の細い12弦はもともと高音領域の弦ですが、ピックアップをリア側に寄せると、より固く高音が強調されてギターっぽい痩せた音になってしまうのを防ぐため、そして、低音用の34弦用のピックアップをフロント側に寄せ過ぎてしまうと、暖かいけど輪郭がはっきりしない甘くてこもった低音になってしまうのを防ぐための策だったのではないかと思うのです。
ご存知のように、ピックアップはリア側にマウントすると高音が強調され痩せた音になり、フロント側にマウントすると暖かくやわらかで太い音になります。
これって、ステージではエフェクターやアンプなどで補正可能なレベルですが、多重録音として1トラックにベースパートを録る場合、あとからは非常に補正しにくいのです。
 
しかし、本家のFender Precision Bassは、厳選されたネックやボディの木材、金属パーツなどにより、決してやせたチープな音にならない自信があったのでしょう。
低音は低音らしく高音は高音らしく、よりレンジの広い音が出せるようにと、12弦グループにはリア側に34弦グループにはフロント側にずらしてレイアウトしたのです。
ちなみに、現在のYAMAHAFender社と同様のレイアウトに統一されています。
写真は、YAMAHA2014年版カタログに掲載のBBシリーズです。
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私の長年の愛器、YAMAHA BB-XPJピックアップレイアウトですが、フロントピックアップはFender社のプレベと同じレイアウトです。
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ちなみに、現在でも、正統派のプレベにはリア側にはピックアップがなく、フロントに1個だけです。
正統派のプレベはネックがジャズベより太いことも影響して、フロントピックアップ1個でも極太な重低音を奏でます。
ヘビメタやハードロックなどにプレベが使われる理由は、プレベがこんな性格だからでしょう。
言い方を変えれば、フロントとリア1個ずつ2個ついているジャズ・ベースは、サウンドアレンジの幅が広いので、音楽ジャンルを問わずオールラウンドな演奏に向いていると思います。
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ネックも細いし、フィンガリングも楽ですしね。
 
PJピックアップレイアウトのベースは、さらに欲張って、たまにはプレベっぽい音も出せるようにした結果だと思います。
PJピックアップレイアウトのベースは、プレベジャズベの良いとこ取りではなく、どっちつかずの中途半端なシロモノだ、という方々もいらっしゃるようですが、それも演奏者の好き好きでしょう?
プロならプレベジャズベの両方を持つだろうし、それ以外のアクティヴピックアップをマウントしたアレンビックなんか使うプロもいます。
我々アマチュアは「見た目が好きで一目惚れして」「演奏している自分にルックス的に似合っていて」「弾きやすくて」「ついでに、音も悪くない」ベースを選べばいいんですよ。
そんなことより演奏の腕を磨く方が先でしょう?
 
楽器は「一目惚れ」が一番です。これ、ホントです。
女性を選ぶときもほぼ共通します。
やがて物足りなくて別れる時が来ても、「惚れた」「好きだ」ということで手に入れた楽器ですから、しばらくは恋人期間を過ごせるはずで、その期間、演奏者はいろいろ試して経験してオトナになるのです。
まして、初めて選ぶご自分のベースを、自分の感性でなく、赤の他人(私を含むウンチク好きな知ったかぶりベーシスト)の意見を参考にするなどもってのほかです。
車買うとき、「ボディ色」や「スタイル」で選んで良いんですよ!
すごく好きでもないけど「物知りな人」が良いって言うし、まあ許せるかな、なんて妥協して買った楽器は絶対大事にしないものです
あれ なぜこんなに熱くなったんだろう・・・
 
ちなみに、PJタイプピックアップレイアウトとは、一般的プレシジョン・ベースにマウントされている「12弦グループにはリア側に34弦グループにはフロント側にずらしてレイアウトされているシングルボビンピックアップ」をフロント側に配置し、一般的ジャズ・ベースにマウントされている「直線に並んでレイアウトされているシングルボビンピックアップ」をリア側にマウントした2ピックアップ仕様のことを言います。
たぶん、「和製英語」なのでしょうね。
プレベPと、ジャズベのJをくっつけたのでしょう。安直だなァ・・・
 
後編「プレベジャズベとそれ以外」に続く。ちゃんとオチがつくのかな?この話・・・