戦前のお洒落な曲たち:My Blue Heaven
その彼が歌っていたので当然「日本の歌」だと信じていたのです。
学生の頃、キャバレーで本職のジャズメンたちが歌なしで演奏していたのを聴いて感動した記憶があります。
戦前の舶来の曲は、ポップスという言葉がなかったので基本がジャズだけど、踊りやすいスィングのリズムに乗せた単調だけど聴きやすく覚えやすいイージーリスニングメロディで、そのセンスは70年以上たった現在でも十分色褪せていないと思うのです。
実は、テレビを見ていたら、そのMyBlue Heaven(Blue Heavenじゃないよ!サザンじゃないですよ!)が、何かのコマーシャルで流れてきて、「あ、これ演奏してみるか・・・」と思い立ったことが今回のテーマです。
しかし、Netで調べてみたのですが、原曲のKeyはやっぱりB♭で、管楽器奏者が作った曲だったことが分かりました。
オカリナ書庫のブルームーン老テク多重録音ブログへのリンク
※移調楽器である管楽器の基音(調)については、YAMAHAのHPをご覧ください →
その結果、最も聴きやすく演奏しやすいコード進行をモディファイしてアレンジしてみました。
主旋律をC管オカリナで吹きたいのでKeyはCにしました。
そして、昨日1日かけて譜面ソフトで作ったのがこの楽譜です。
ジャズのコードは面白いっちゃ面白いんだけど、懲りすぎるとウザいので適当に省略して、印象的なコードだけを残しました。
6段19~20小節のコード進行はとてもお洒落で気に入っています。。
なお、楽譜作成ソフトはMuseScoreです。
ここで突然コードの話をしたくなりました。
ギターコードとはそもそも和音であり、その中の基本は、主和音・下属和音・属和音で、その全ては3つの音の和音です。
KeyがCなら、主和音のコードはCで、下属和音はF、属和音はGです。
これを属七和音といいます。
これを踏まえて、先ほどの譜面の2段7小節目のミの音に注目してください。
Net検索すると、ほとんどの場合この音の部分のコードをG7(Keyが違う場合でも属七和音)にしています。
でもおかしいでしょ?
KeyがCの属七和音であるG7にはメロディのミの音が含まれていないのです。
それでも、歌いながら弾いていて特に違和感はありません。
それは、KeyがCの属七和音にミの音を加えた「ソ・シ・レ・ミ・ファ」の5つの和音のコードが存在するからです。
これがG7add6と言って、まんまですがG7の和音に根音Gを含め6番目の音である「ミ」を加えたコードです。
ピアノなどの鍵盤楽器で低い方から「ソ・シ・レ・ミ・ファ」と同時に弾くと、音が隣同士で近過ぎるためすごく違和感がありますが、
「レ・ファ・ソ・シ・ミ」の順で押さえて同時に弾くと、素敵な和音に聴こえます。
これと全く同じ順ではありませんが、ギターコードの形としてはこうなるのです。
解放弦がないので音のしまりも良く、小指で押さえる2弦5フレットのミの音を1弦5フレットのラの音に押え替えればG7add9となり、5弦5フレットを押さえている薬指を4弦5フレットのソの音に押え替えればCM7となり、ジャズでよく使う常用コードに変化しやすくなります。
私はここで何を言いたいのか、というと、G7add6のような5つの音でできているコードはピアノや6弦楽器のギターだからこそ演奏可能なコードだということです。
これは今回の裏テーマです。
だからこそアンサンブルでウクレレが出せない音をベースや何らかのリード楽器を重ねて補うのです。
もっというと、その最たるアンサンブルはブラスアンサンブルです。
2音以上を同時に出せない管楽器がいくつか集まって奏でるイージーリスニングジャズは、どの時代も関係なくライヴ演奏がサイコーだと思います。
話は楽譜の「My BlueHeaven 私の青空」に戻りますが、この曲の原曲が作られた1927年から戦後すぐの時期までの間には、Pops(そもそもPopsは和製英語で、戦前にはない言葉です)とJazzの中間的で、短いけど印象的でお洒落な曲がたくさん生まれました。
私が生まれる前の秀曲たちを、温故知新ではないですが、あらためて演奏してみてそのサウンドに触れてみたいと思っています。