老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

戦前のお洒落な曲たち:My Blue Heaven

My Blue Heaven私の青空)は、私が小学生の頃、榎本健一さんが歌っていて覚えた曲でした。
榎本健一さんはご存知の方は分かると思いますが、愛称はエノケンといって全盛期は飛ぶ鳥を落とす勢いで一世を風靡したコメディアンであり歌手でもありました。
その彼が歌っていたので当然「日本の歌」だと信じていたのです。

しかし、私が成長するにつれて、実は「短調ではなくて、明るい長調の曲」のほとんどはアメリカの曲で、それを先取りした日本のMusicianたちが歌いやすいように和訳して歌っていることが分かってきました。
学生の頃、キャバレーで本職のジャズメンたちが歌なしで演奏していたのを聴いて感動した記憶があります。
戦前の舶来の曲は、ポップスという言葉がなかったので基本がジャズだけど、踊りやすいスィングのリズムに乗せた単調だけど聴きやすく覚えやすいイージーリスニングメロディで、そのセンスは70年以上たった現在でも十分色褪せていないと思うのです。
実は、テレビを見ていたら、そのMyBlue HeavenBlue Heavenじゃないよ!サザンじゃないですよ!)が、何かのコマーシャルで流れてきて、「あ、これ演奏してみるか・・・」と思い立ったことが今回のテーマです。

しかし、Netで調べてみたのですが、原曲のKeyはやっぱりB♭で、管楽器奏者が作った曲だったことが分かりました。
KeyB♭=管楽器奏者が吹きやすい=管楽器奏者作曲という図式は、過去ブログ(オカリナ書庫のブルームーン老テク多重録音)をご参照ください。
オカリナ書庫のブルームーン老テク多重録音ブログへのリンク

※移調楽器である管楽器の基音(調)については、YAMAHAHPをご覧ください

ということで、まずはYouTubeで演奏映像をいくつか視聴した後、楽譜やギターコードをNet検索してみました。
その結果、最も聴きやすく演奏しやすいコード進行をモディファイしてアレンジしてみました。
主旋律をC管オカリナで吹きたいのでKeyCにしました。
そして、昨日1日かけて譜面ソフトで作ったのがこの楽譜です。
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ジャズのコードは面白いっちゃ面白いんだけど、懲りすぎるとウザいので適当に省略して、印象的なコードだけを残しました。
61920小節のコード進行はとてもお洒落で気に入っています。
なお、楽譜作成ソフトはMuseScoreです。

ここで突然コードの話をしたくなりました。
ギターコードとはそもそも和音であり、その中の基本は、主和音・下属和音・属和音で、その全ては3つの音の和音です。
KeyCなら、主和音のコードはCで、下属和音はF、属和音はGです。
G7は属和音の中にGを含めて7番目の音=ハ長調ですから「ファ」の音を加えた「ソ・シ・レ・ファ」の4つの和音です。
これを属七和音といいます。

これを踏まえて、先ほどの譜面の27小節目のミの音に注目してください。
Net検索すると、ほとんどの場合この音の部分のコードをG7Keyが違う場合でも属七和音)にしています。
でもおかしいでしょ?
KeyCの属七和音であるG7にはメロディのミの音が含まれていないのです。
それでも、歌いながら弾いていて特に違和感はありません。
それは、KeyCの属七和音にミの音を加えた「ソ・シ・レ・ミ・ファ」の5つの和音のコードが存在するからです。
これがG7add6と言って、まんまですがG7の和音に根音Gを含め6番目の音である「ミ」を加えたコードです。
ピアノなどの鍵盤楽器で低い方から「ソ・シ・レ・ミ・ファ」と同時に弾くと、音が隣同士で近過ぎるためすごく違和感がありますが、
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「レ・ファ・ソ・シ・ミ」の順で押さえて同時に弾くと、素敵な和音に聴こえます。
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これと全く同じ順ではありませんが、ギターコードの形としてはこうなるのです。
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解放弦がないので音のしまりも良く、小指で押さえる25フレットのミの音を15フレットのラの音に押え替えればG7add9となり、55フレットを押さえている薬指を45フレットのソの音に押え替えればCM7となり、ジャズでよく使う常用コードに変化しやすくなります。

私はここで何を言いたいのか、というと、G7add6のような5つの音でできているコードはピアノや6弦楽器のギターだからこそ演奏可能なコードだということです。
では、4弦しかないウクレレではどうするのか?
これは今回の裏テーマです。
ウクレレは所詮「伴奏楽器&リズム楽器」です。
だからこそアンサンブルでウクレレが出せない音をベースや何らかのリード楽器を重ねて補うのです。
もっというと、その最たるアンサンブルはブラスアンサンブルです。
2音以上を同時に出せない管楽器がいくつか集まって奏でるイージーリスニングジャズは、どの時代も関係なくライヴ演奏がサイコーだと思います。

話は楽譜の「My BlueHeaven 私の青空」に戻りますが、この曲の原曲が作られた1927年から戦後すぐの時期までの間には、Pops(そもそもPopsは和製英語で、戦前にはない言葉ですJazzの中間的で、短いけど印象的でお洒落な曲がたくさん生まれました。
私が生まれる前の秀曲たちを、温故知新ではないですが、あらためて演奏してみてそのサウンドに触れてみたいと思っています。
それらのスタンダードナンバーPCの打ち込みに頼らずに、あえて安物のウクレレとギターとベース、キーボードを使って老テク演奏し、多重録音がしたいのです。

※「My BlueHeaven 私の青空」を実際に演奏して多重録音したYouTubeへのリンクはこちらです。