断捨離⑤フォステクスVF08 HDD MTR
1.一人で多重唱がしたかったから(つまり一人でハモリたかった)
2、学生バンド解散後、一人で多重奏したかったからでした。
なぜって、彼らの音楽はヴォーカルも楽器の一つとして成り立っているので、それだけは絶対にまねできなかったからです。
最初は、電気技師の父親がいる友人の家にあったオープンリールテプレコーダーを借りて「Sound on sound」でオラは死んじまっただ~などの曲を最大で4重奏で録音しました。
ちなみにSound on soundとは、例えばテープレコーダーの右用トラックに1回録音(楽器や歌)するとして、これを再生しながら左トラックにダビング(コピー)すると同時にマイク入力から別の音源(アンサンブル楽器やハモリの歌など)も録音するという方法です。
この方法だとテープの左用トラックには2回分の音源(演奏や歌)が重なって記録されますが(2重録音)、ステレオにはならないのが欠点です。
でも、重ねる回数が多いと音質が劣化するので、良くて3重奏が限界でした。
しかも再現できるのはこの方式ではモノラル再生でした。
磁気テープ仕様のMTRは全て録音ヘッドが再生ヘッドの役割を兼用できる設計になっていますが、Sound on soundができる家庭用テープレコーダーでの多重録音は、同様のヘッド設計になっている機種限定の機能で希少な存在でした。
その後しばらくして、私たちローテク楽曲制作ユニットMadKnight & his staffsの相方「りんご」との協力で、カセットデッキ2台(やがてはオープンリールテープデッキに代わる)での「Line入力とMic入力のミキシングをしながらの相互ダビング」を開始し、最終作品のステレオ再生が可能になりました。
この方法はテープレコーダー2台を使った1種のSound on soundで、当時のテープレコーダーはカセットでもオープンリールタイプでもLine入力とMic入力の両方がついていたからできた録音方法でした。
しかしそんな原始的な方法は、1980年代初めに入手したTEACの4トラック4チャンネル方式のオープンリールテプレコーダー導入によって陳腐化され、その後の多重録音作業において画期的な進化を遂げたのです。
このテープレコーダーでの多重録音方式は、前述のSound on soundではなくSound with sound=第1トラックに録音された音源に合わせて第2第3第4トラックに録音する方式なので、同一トラックに音が多重録音されないために音質劣化はほとんどないのが優れた点です。
しかし、最終的にステレオ2トラックにミキシングダウンするためのサウンドミキサーは必須アイテムでした。
民生機としては最大の16トラックのオープンリールテープデッキ+16チャンネルミキサーなどが販売されていました。
しかし今ではそれすら遠い昔の原始的な多重録音方式ですが、これらの機械によって作られたのが私たちローテクオリジナル楽曲作成ユニットMadKnight & his staffsの作品でした。
その後、様々な磁気テープ式でのMTRが生産され売り出されましたが、やがてHDD内臓のデジタル録音MTRが主体となり、価格が安いのに8トラックや16トラックのMTRが出現し、磁気テープ式(それもデジタル)でのMTRはプロのマスター音源作成用のみになってしまいました。
ざっと挙げてみると、
5、そして現役のTEAC(TASCAM)製DP-008EX=8tr・2chSDカード式
以上の合計5台です。
息子はこいつで自作曲を録音して自費製作CDを3~4種類作っていました。
私たち両親は親バカでしたから、その都度10枚ほど買ってあちこちに配って「息子をよろしくP.R」をしました。
ちなみに現在のVF08のHDDの中身は私が全て再フォーマットしたので何も記録されていません。
まあ、USB経由、PCに録音する方法ならばそのままCDも作れるので問題はないでしょう。
こいつには一応取扱説明書も段ボールもついています。
どなたか使ってくださる方にお譲りしたいと思います。