老・四弦奏者のブログ

アラ古希のローテクMusicianのブログです

オーディオCD作成作業日記・前編

実は、前々回の2月7日のブログで書いた内容ですが、元プロのMusician「十田敬三」さんである従兄のAさんから送られてきたのがCDではなくてデータファイルが入ったフラッシュメモリーだったのです。
彼は、いくら元プロのMusicianで、一般人よりはいろいろな面で進んでいたとしても、65歳の私より一回り以上年上の従兄ですから、さすがにPC操作(というかIT関連機器操作)には不慣れなようで、CD作成ができなかったのです。
そうだよね、もうすぐ80歳なのにメールで写真添付して送れるだけすごいと思います。
ということで、私こと老・四弦奏者の音楽人生の恩人である従兄のために恩返しとしてきちんとした「十田敬三の音楽CD」を作成することにしました。
今回は、音楽データから一般のCDプレーヤーで聴けるオーディオCDを作成する手順を時系列順にまとめた内容です。
私、最近PCiPadいじり過ぎで右手首が腱鞘炎気味なので、前・後編に分けて2回に分ける予定です。
 
1、今回送られた音楽データは、以下の4つのデータです。
1-1 デビルマンのうた
1-2 今日もどこかでデビルマン
1-3 十田敬三が歌ったテレビCMソング全52
1-4  1974年と1975年に開催されたライヴ演奏録音会で一発録りした、十田敬三ボーカルのJazzライヴ演奏音源 全13曲(メドレー3曲含む)
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2、①と②はなぜかwmaファイルで、③と④はmp3と言う内容でした。
従兄のAさんによれば、①と②はアナログレコードプレーヤーから直接PCへ録音したものだそうです。
③と④は、現役時代に買った業務用のTEAC2tr/38cmのオープンリールテープデッキからPCに直接録音したとのことですが、なぜか①と②のwmaファイルと違い、mp3ファイルでした。
いずれにせよ、①と②は別としても③と④は、たぶん2tr/38cmで録音された素晴らしく高音質だったはずのStudio録音音源がかなりクオリティダウンしてしまった音楽ファイルでした。
一般のオーディオCD用音楽データはwavファイル音源が主流で、そのメモリー上での大きさは1分で10MBが目安です。
つまり、4分の曲は約40MBのファイルサイズとなりますので、これではアウトルックなどのメールソフトでは重すぎて添付して送信はできません。
しかし、昨今のデータ音楽用携帯端末では、wavのデータを、高級な再生機器で聴かない限り聴いても気が付かないレベルで「間引き」して「圧縮」したmp3ファイルでの音楽が主流となっています。
mp3の一般的ファイルサイズはwavの約17から18で、かなり軽くなります。
出先では携帯端末でmp3で聴き、自宅の良いコンポやカーステレオではwav(最近ではハイレゾナンスなど)で聴くスタイルが一般的で、かく言う私もそうです。
今回のデビルマン関連の2曲のwmaWindows MediaAudio)ファイル音源は、通常はmp3とほぼ同じファイルサイズなのですが、それにしては少し軽すぎるので(3分で1.4MBビットレートをかなり低くして変換録音されたのでしょう。
 
3、従兄からせっかくいただいた音源データがwavもしくはaifファイルでなく、わざわざクオリティの低いwmaやmp3に落としたものであることに愚痴をいくら言っても始まらないので、とにかく「オーディオCDとしてサマになるレベル」になるように11曲を磨き上げる作業を始めます。①と②のwmaファイルは1曲ずつ独立した音源でしたので比較的簡単でしたので、今回のブログでは、手間がかかったテレビCMソング集の編集を日記風につづることにします。
 
4、まず、CMソング集(演奏時間4550秒、mp3ファイルサイズ62.9MB)を音楽波形編集ソフトに読み込んで開きます。
説明しますと、実はこのCMソング集の最初の部分に、別途編集予定のJazzライヴ生録音の最終曲音源が入っており、こいつを除外するとCMソング集だけのファイルサイズは、演奏時間40分ほどで、mp3ファイルサイズはたぶん58MB程度でしょう。
イメージ 2これに、デビルマンEPレコードの表裏面2曲を入れて作業を始めました。
それにしても、たった60+数MBの小さなファイルサイズで46分の音楽が聴けるのもすごいですが、一般CDプレーヤーで聴けるオーディオCDにするためにwavファイルに変換すると、なんと元データの78倍のファイルサイズの450MBに膨らんでしまうのです。
しかし、いただいた元データがmp3なので、いくらこれをwavに変換しても音質クオリティが本来のwav並みに高音質には絶対にならないのです。
従って、私の今回実施した仕事は、ただただ一般CDプレーヤーで聴けるようにするためだけの作業でした。
 
5、波形編集ソフトで開いてみると、このmp3データのビットレート192kbpsですが、サンプリング周波数が48000Hzだと分かりました。
一般オーディオCDプレーヤーで聴けるようにするためには、wavファイルに変換する必要があります。
その場合のデータファイルは、ビットレート192kbps、サンプリング周波数は44100Hzという内容です。
48000Hzのままでもいいのですが、元データが「間引き」したmp3なので、これを膨らませて約78倍のファイルサイズのwavにするのにはサンプリング周波数は44100Hzで十分です。
もともとクオリティが低いmp3データをwavに変換しても、ファイルサイズが増えるだけでクオリティがアップするわけではないのです。
それに、mp3ファイルのサンプリング周波数が48000Hzのままで一般的CD音質のwavファイルに変換すると、ピッチが変わってしまいますので、ビットレート192kbpsのまま、サンプリング周波数を44100Hzに変換したあとで、このmp3データをwavに変換しました。
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6、このあと波形を拡大して、切れ目なく録音されている元音源の曲ごとの「切れ目」を探してその範囲を囲んでコピーし、別の波形データにペーストします。
写真はある曲の波形部分を囲ってコピーしている画像です。
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7、そして切り出されて単独の1曲として波形データに移された画像がこれです。
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8、この曲データの開始部分は、前の曲の余韻や雑音や演奏開始前の雑談や機械音などが小さな音で収録されているので、基本的にはカットします。
最初の部分は単純にカットしますが、エンディング部分は演奏音が自然に消えていくようにフェードアウト処理をします(これだけで数回やり直します)。
写真は前項7の画面から、前後の不要な音声部分をカットした波形です。
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9、次はこの元音源を、SONYの定番モニターヘッドフォンMDR-Z900で何回も聴き直しながら「曲中にノイズがあるか否か」「高音・低音・中音のバランス」「演奏とヴォーカルのバランス」「演奏楽器の音量レベルと周波数がヴォーカルを邪魔していないか」「音量レベルが大き過ぎるか小さすぎるか」をチェックします。
その結果、適正と思えるレベルに音楽データを修正します。
これをイコライジングEqualizing)作業といい、私の専門の多重録音でも必須の作業です。
この画像は、波形ソフトで低音から高音まで各周波数ごとに調整している画面です。
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そのときに必須なアイテムがRolandUA-4FXというUSBAudio Captureです。
簡単に言うと、アナログ・デジタル変換アダプターです。
今回の作業は全てPCで行いましたが、サウンドのモニターはPCのチンケなミニヘッドフォン出力端子に直接SONYのモニターヘッドフォンMDR-Z900を差し込んで使わず、USB経由でこのUA-4FXにつないでいます。
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PCが普及し、便利で優秀なソフトも出現してきたので、昔のようにテープレコーダーで音源管理をしなくてもよくなりましたが、最終的にその音源を聴くのは生身の人間であることを忘れるべきではないのです。
良い音か悪い音か、好きな音か嫌いな音か、を判断するためには人間の耳に近い機械や道具ほど良いものを使うべきだと私は思っています。
RolandUA-4FXはもう製造中止品ですが、えらく安かったと記憶しています。
 
10、イコライジングEqualizing)作業した音源の波形のピークがオーバーレベルして歪まないようにピークで0dBになるようにノーマライズNormalize)作業を行います。
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ノーマライズしたあと、曲の頭に500mmsecのブランクを入れておきます。
安っぽいプレーヤーで再生する場合に発生するスタート時の「プチノイズ」対策です。

11、十田 敬三 TV CMソング集は20秒に満たない物から2分前後のものもあり、CMソングだから当たり前ですが、ほとんどが30秒程度の曲ばかりで52曲、時間にして40分弱でした。
この52曲の前にデビルマンEPレコードAB面の2曲を入れて、全部で54曲、4350秒のCDに仕上げます。
つまり、1曲が独立しているデビルマン関係2曲以外のCMソングは、1個の長~い波形から52個のデータを切り取ってそれぞれ独立した曲データに作り直す作業と、そのあとの前述の項目4から10までの作業をしなくてはならなかったのでした。
2月の22日から作業開始し、TV CMソング集に関しては26日に完成しました。
 
12、今度はこの54曲をCD-Rに焼く作業です。
そもそも、完成した「十田 敬三 TV CMソング集」の52曲は、ファイル変換と整音作業を含め全てSound It!という波形編集ソフトで行いました。
その結果完成したwavファイルを、今度はCD-Rに焼くためのソフトとしていくつか選択肢がある中で、私はiTunesを選びました。
理由は、私がもともとMac派でiPodiPadminiを持っていて使い慣れているからですが、最も大きな理由は、iTunesで曲を管理すると、CD textに対応できるからなのです。
一般に出回っているCDプレーヤーの中には、CDを入れると、CDの名前だけでなく中の曲名も表示するものがあります。
そういったCDプレーヤーで聴くことも念頭に入れて、音楽データに曲情報を書き込みます。
この写真は、iTunesCDに焼くための54曲のリストの画面です。
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それぞれの曲にカーソルを合わせ、右クリックでプロパティを開き、曲の情報を入力すると、それがリストに反映します。
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13、こうして54曲すべてにText情報を書き入れてから、メニューバーの「ファイル」からプルダウンして、「プレイリストからディスクを作成」をクリックします。
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14、そして、「ディスク作成設定」で「CD-Textを含める」にチェックを入れて、画面下の「ディスクを作成」をクリックし、とりあえず完成です。
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15、「とりあえず完成」というのは、まだCDジャケットを作成していないのと、せっかくのプリンタブルCDなので、CDに十田 敬三の写真と曲情報を印刷する作業が残っているからです。
 
ああ、そろそろ右手首が痛くなってきました。
今回のTVCMソング集のCDジャケット用写真は、十田 敬三こと従兄のAさんから送ってもらうことになっていて、これが届いてから作業しますので、次回のCD作成作業の後編としてブログアップする予定です。
なお、後編では、十田 敬三のJazzライヴ録音音源のCD化とジャケット作成秘話(?)を含めての完成形をご披露させていただきます。
誰も期待してないでしょうけど、お楽しみに!
 
でも・・・ 終わる前に、何となくもう少し独り言が言いたくなりました。

従兄のAさんがこのTVCMソング音源を録音していた頃は、私が大学卒業前の就職活動中だったので、この従兄がプロの頃に私がコンタクトしていたなら、十田 敬三のコネと推薦によって、私は「Musicianのはしくれ」になれたかも知れない・・・
Musicianにはなれなくても、少なくとも憧れだったレコード会社に就職できたかもしれない・・・・
 
な~んてね、
そんな甘い夢を見たりして、この10日間を過ごしました。
仮に、私が大学卒業後に、十田 敬三の「七光り」で音楽界デビューもしくはレコード会社就職できたとしたら、女房とは会えなかったし、娘と息子も入れての家族バンド演奏もできなかったし、可愛い孫たちにも会えなかったわけだし・・・
 
Aさんはメールで、こう書いていました。
音楽やっていた頃は、楽しかった事よりつらくて嫌な事の方が多かった・・・と。
でも、そんなAさんは、現役引退後 40年経ってから、57年前にウクレレをプレゼントして以来疎遠だった14歳年下の従弟の私から「楽器演奏の恩人」としてラブコールがあって、とてもうれしかったそうです。
そして、私も今が一番幸せなのだ、と改めて思った次第でした。
Aさん、CD最終仕上げ、もう少し待ててね。